日本看護協会ホームページでは、看護実践情報として、東京都に所在する立正佼成会附属佼成病院のワクチン接種の取り組みを紹介している。
迅速かつ正確な対応が求められるワクチン接種において、体制づくりは重要なものである。
今回は立正佼成会附属佼成病院のワクチン接種体制について紹介する。
立正佼成会附属佼成病院のワクチン接種体制
立正佼成会附属佼成病院データ
・診療科:27
・病床数:340床
・急性期や地域包括ケア、緩和ケア等の病棟を所有
多職種連携によるワクチン接種体制の構築
二階堂孝副院長「接種が始まった際には、“ワクチンセンター”的な役割を担当しなければならないと病院幹部内で共通認識していた」と話す。
看護師、薬剤師、事務員の明確な役割分担の下、ワクチン接種を実施。
役割
院長:総監督
副院長:隊長
情報システム課長:副隊長
「情報」「物流」「接種」「会計」の4部隊を設置。
2週間ごとに、ミーティングを行い、担当表と緊急対応フローチャートを作成。(役割分担の明確化)
担当表は下記の通り。
▽問診:医師
▽ミキシング:薬剤師
▽会場準備:みんなで
▽受付・誘導:事務
▽接種:看護師
▽有症状者対応:医師
接種後のアレルギー、アナフィラキシーへの対応
循環器の医師と救急外来の看護職等の職員も含めた対応フローチャートを明示。
ワクチンの保管・管理
ディープフリーザーの管理は臨床検査部が担当。
ワクチンの数は情報システム課長がキャンセルも想定し管理。
リスクマネジメント
●準備段階 -準備手順のライン化、各業務に集中できる仕組み-
ミキシング:薬剤師、シリンジへの充塡:看護師、と役割を分担。
被接種者数と同数のシリンジ・注射針を準備
1トレーに1バイアル、シリンジ、注射針(5人または6人分)をセット → 他のものと混在させない
充填完了したトレーは既定の場所へ。
●接種 -看護師が接種に集中できる体制整備-
筋肉注射の手技について最新のマニュアルを共有。
接種を実施する看護師と事務員は2人1組で配置。
事務員がロット番号シール貼付や接種証明書を説明。
●接種会場 -役割分担と業務の明確化によるインシデント回避-
感染管理認定看護師のアドバイスの下、下記を実行。
・感染対策
・スムーズな動線
・倫理面を考慮したパーテーションの設置
接種後の副反応などの調査と対応
院内での医療従事者のワクチン接種(3月中旬から開始)
体制や手順はミーティングを通じて検討、改善
ワクチン接種した職員の健康調査
院内の調査結果:2回目の接種翌日に接種者の35.8%に37.5度以上の発熱。
→接種2回目の翌日は公休を推奨。
健康調査
二次元コードをスマートフォンで読み取り、Webサイトから接種日を含め6日間質問を簡易に回答。(情報システム課が担当)
接種後15分の待機時間は教育効果が高いと考えワクチンに関するQ&Aなどの映像を作成し放映。
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参考:
ワクチン接種 | 日本看護協会