介護系施設や訪問看護事業所等での医療安全の浸透には、施設や事業所の特徴から医療機関とは別の困難があり、新型コロナウイルス感染症の影響下で、新たな課題も生じている。今回は、万一のトラブルから看護職を守る「看護職賠償責任保険制度」を紹介。
看護職賠償責任保険制度とは?
・日本国内で看護職が行う業務によって、他人の身体や財物に損害を与えたり、人格権を侵害したため、法律上負担しなければならない損害賠償責任を補償するもの。
・業務中に偶然な事故により死亡、後遺障害が生じた場合や針刺し事故等によりHBV、HCV、HIVに感染された場合(HBVは感染後、発病・治療した場合)に保険金を支払う。
・日本看護協会の会員(開業助産師を除く)だけが加入することのできる会員専用の保険制度。1年間で2,650円。
・加入に関するお問い合わせ、看護業務上生じた医療安全にかかわるできごとについての相談、万一の事故後の相談に迅速に応えるよう、専用のコールセンター等を設置。
※補償内容の例
対人賠償:5000万円
対物賠償:100万円
人格権侵害:5000万円
加入者専用窓口
「看護職賠償責任保険制度」サービス推進室)の医療安全に詳しい相談員がアドバイス
<相談対応・支援>
加入者に対し、医療安全に詳しい相談員(看護職)とスタッフが、以下のような相談対応・支援を行う。提携する顧問弁護士とも連携している。
・医療事故が発生した場合の相談対応・支援
事故発生直後から解決までの全プロセスの相談対応・支援。法的権利、メンタルヘルスサポートなどについても助言。民事のみならず、刑事・行政上の責任に関する具体的事案についても相談可。
・看護業務上生じた医療安全にかかわるできごとについての相談対応・支援
補償対象となる医療事故だけでなく、日常の看護業務の中で生じる医療安全にかかわる様々なできごとなどについても相談対応・支援。
<ハラスメント相談窓口>
・ハラスメントに関する相談に対し、看護職、公認心理師が対応・助言
専用の電話相談窓口で、看護職が状況の整理、支援体制の確認、今後の対応への助言する。保険制度加入者からの相談であれば、加入者本人以外が ハラスメント当事者である相談も可。また、ハラスメント事象やハラスメントによるダメージへの心理的サポートとして、公認心理師が対応する。
事故審査委員会によるチェック
「事故審査委員会」は、医療事故が起きたとき、看護職にどのような責任があるかなどを審査する機関。保険会社や日本看護協会からも独立しており、公正な審査を行っている。
「看護職賠償責任保険制度」研修会
日本看護協会では、「看護職賠償責任保険制度」研修会を行っている。
2月28日に開催した第22回「看護職賠償責任保険制度」研修会 訪問看護事業所・介護施設等における安全対策をZoomより再配信予定。
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