2021年4月16日、厚生労働省ホームページにて「新型コロナウイルス感染症のPCR検査等における精度管理マニュアル」が公開された。
今年1月22日には厚生労働省より、Ct値を30〜35とする検査についても通達している。
今回のマニュアル、1月の通達、共にCt値について記載された部分に注目し、それぞれの検査を紹介する。
PCR検査におけるCt値の取扱い
今回の通達におけるPCR検査の取扱いについて
リアルタイムRT-PCRにおける陽性判定の基準としてThreshold Cycle (Ct)値を用いる場合、精度管理実態調査の結果では、多くの施設でメーカー指定値の40を用いていた。
Ct値は測定試薬の性能のみならず、試薬と測定装置との組み合わせ等により変動する。
検査導入時に検出限界を含めた性能特性の評価を行い、陽性判定の基準となるCt値を定めることが重要である。
※検出限界、分析特異性、精度の評価
・アッセイに用いる臨床検体の種類(上気道スワブ、唾液、喀痰など)と同様な性状(粘度など物理的性状、蛋白質など化学的性状)を有する検体との組み合わせにより測定する必要がある。
・検出限界の評価は、核酸抽出と増幅・検出を組み合せた性能特性として評価する。
・新型コロナウイルスはDNAウイルスと比較して変異しやすく、プライマー・プローブ結合部位の変異による検出限界の低下の可能性が指摘されている。
・検査導入時の性能特性の評価で確認した検出限界は、ウイルス進化に応じて再確認する必要がある。
再確認のタイミングは、検出限界の低下(あるいは偽陰性)の可能性が示唆される場合で、例えば、外部精度管理調査への参加における低濃度試料の測定での偽陰性の誤判定、測定試薬の製造業者から変異株について分析感度低下の可能性について情報提供があった場合などがある。
・外部精度管理調査へは定期的な参加が推奨される。
1月22日には厚生労働省による異なるCt値を用いる検体プール検査法の通達
・高齢者施設等における幅広い検査を効率的に実施するために行われる検体プール検査法(複数の検体を混合して同時にPCR検査等を実施する検体プール検査法)
・検体プール検査法による検査は、一般に個別検体を用いた検査と比較し感度・特異度が下がることから、検査体制に余裕がある場合には個別検査を推奨する。
・Ct値は系や環境によるので、一様に定義することはできない。
・感染研法による場合、検体プール検査法による検出限界を100コピー/テストとすると、Ct値では35程度になる。
陽性と判断するポイント
①Ct値30~35付近の陽性検体をCt値に偏りなく混ぜて20以上のプール化検体(陰性検体も同数)を作成
②一致率が85%以上であるか確認することが適当である
※陽性検体を混合したプール化検体は陽性になること、陰性検体からなるプール化検体は陰性になること
※FDAでは、プール化した検体数(例えば5つの検体を同時に混合してまとめた検体)を20以上(カットオフCtに近い検体(前述の場合であれば35)を25%以上含めることが推奨されている)として評価することを推奨している。
※こうした精度の妥当性の確認については、検体プール検査の開始後も、定期的に実施すること。
※Ct値は高いほど、増幅を繰り返していることから、基本的にウイルス量と逆相関
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参考:
医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請)[PDF]|厚生労働省
新型コロナウイルス感染症のPCR検査等における精度管理マニュアル[PDF]|厚生労働省