前回に引き続き、日本看護協会ホームページより「2021年度改訂版 看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」の中から、看護師と准看護師が協働する上で必要な体制整備について紹介する。
看護師と准看護師の資格名称の明示と役割・責任の明文化
【どの資格を有するスタッフであるかを対象者に情報提供するため資格名称を明示する】
・対象者への正確な情報提供を促進し、安心・安全な医療を提供するためには、それぞれの資格名称を名札の他、各部署のスタッフ表示や担当看護職の表示欄等で明示するとともに、施設内で正しく呼称する必要がある。
・上記により、対象者はどの資格を有するスタッフが自身に関わっているのかということを知ることができる。
・看護師と准看護師は別々の資格であり、看護師と准看護師をまとめて「看護師」と表記することは正しくないため留意する必要がある。
・看護師のことを「正看護師」と呼称や表記することも正しくない。
・資格名称ではなく、「看護部」のように所属部署のみを表示することは、保健師助産師看護師法の名称独占の規定には反しないが、対象者に正確な情報を提供するという観点からは、所属部署だけではなく、資格名称を正しく明示することが重要である。
・対象者への正確な情報提供とは関連しないものの、各施設の文書や勤務表においても正しい資格名称を表示するべきである。
【看護師と准看護師の役割と責任を明文化する】
・保健師助産師看護師法をはじめとする法令・通知等に基づき、各施設における看護師と准看護師の役割と責任を明文化し、組織全体で共有することが重要である。
・上記により、看護チームの各職種が資格と役割に応じた職責を果たすことが可能となる。
業務実施体制の整備
【准看護師が看護師からの指示を受けられるよう規定や体制を整備する】
・各施設の業務基準等において、看護師と准看護師の業務について定めることが必要である。
・准看護師の業務については、「療養上の世話に関する准看護師への指示は看護師が行う」という規定を設けた上で、運用ルールを作成することが望ましい。
・看護師から准看護師への業務の指示については、「あらかじめ計画されていた看護を提供する場面」と「計画されていなかった看護提供が必要な場面」の2つに分けて整理することができる。
【あらかじめ計画されていた看護を提供する場面では看護計画を活用できる】
・対象者の状態の変化を予測した上で、その変化に応じて適切な看護を計画的に提供するため、現場では看護計画が立案され、看護が実施、評価されている。
・入院基本料の届出を行っている病棟及び指定訪問看護事業所では、看護計画に関する記録や訪問看護計画書の作成は必須とされている。
❇︎「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」厚生省令第80号・平成12年3月31日、厚生労働省通知「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」保医発 0305 第2号・令和2年3月5日
・「看護計画」は保健師助産師看護師法で定める療養上の世話に関する看護師から准看護師への指示として活用できるため、各組織において看護計画を「看護師から准看護師への指示」と位置づけた上で、下記のようなルールを作成する。
◎ 看護計画の立案・評価は、看護師が担う
◎ 指示を出した看護師はその責任を負うことから、指示を出す際には署名をする
◎ 指示に基づき業務を行う准看護師は、対象者の状態があらかじめ想定されていた変化の範囲を逸脱した場合には、速やかに看護師等に連絡を取り、指示を受ける
◎ 指示に基づき業務を実施した准看護師は、業務を実施した結果や対象者の反応について看護師に報告をする。必要時には記録をする
◎ 指示を出した看護師は、その業務が適切に実施されたか、対象者の反応がどうであったのかを確認する
【計画されていなかった看護提供が必要な場面では新たな指示が必要】
・看護師は対象者の状態の変化を予測し、看護計画を立案しているが、予測されていない変化が生じることもある。
・准看護師は看護師等から改めて指示を受けた上で、業務を行う必要がある。看護師等は対象者の状態の変化を踏まえ、改めて准看護師に適切な指示を出す責任がある。
・高度急性期や急性期に比べて回復期や慢性期では看護師や医師の配置が少なく、介護施設等の在宅領域ではその傾向はさらに強まり、看護職が 1人で対応を求められる場面も多い。
・医師や看護師の配置が少ない施設であっても、准看護師は看護師等の指示を受けて療養上の世話と診療の補助を行うという法律の規定は遵守しなければならない。
・各施設においては自施設の対象者の状態像を踏まえ、看護職の配置・勤務体制を検討し、必要な体制整備を図ることが求められる。
●対象者の状態が変化する可能性が高い医療機関・部署
・対象者の状態の変化に応じて必要な療養上の世話をタイムリーに判断し、実施できるよう、常時、看護師が勤務していることが必要である。
●対象者の状態が変化する可能性が低い医療機関・部署
・看護師が入院時及び定期的に看護計画の立案・評価・修正を行い、看護師が勤務していない時間帯では、看護師が立案した看護計画(=指示)に基づき、准看護師が療養上の世話を実施するというルールづくりが必要である。
・看護師が勤務していない時間帯に対象者の状態が変化した場合には、准看護師が直ちに看護師等に連絡を取り、指示を受けられる体制整備が求められる(複数の部署を統括する看護師や夜勤看護師長の配置など)。
●介護施設等
・看護職が1人で対応することが求められる場面が多く、医師も常駐していないことから、看護師が配置されていることが望ましい。
・看護師が勤務していない時間に対象者の状態が変化した場合には、准看護師が直ちに看護師等に連絡を取り、療養上の世話の指示を受けられる体制整備が求められる。
●訪問看護ステーション
・病態やそれまでの経過等から利用者の状態に変化がないと想定され、看護師が立案した訪問看護計画に基づいて看護を提供する場合には、准看護師が単独で訪問することができる。
・利用者の状態に変化があった場合には、直ちに看護師に連絡を取り、指示を受けられる体制整備が求められる。
【看護師と准看護師の業務を区分し、明文化する】
・保健師助産師看護師法で定める看護師及び准看護師の業の違いに基づき、他の法令・通知等も踏まえ、役割の違いを整理したを参考にしながら、看護師と准看護師の業務を区分し明文化した上で、組織全体で共有する必要がある。
必要な教育の実施
看護師・准看護師への教育・研修を実施する
・看護師と准看護師が安全で効果的・効率的に協働するためには、保健師助産師看護師法をはじめとする法令・通知等、本ガイドラインで示す基本的な考え及び自施設における規定等を十分理解している必要がある。
・各施設においてもすべての看護職を対象に教育が行われることが望ましい。
・看護管理者には、必要な体制整備を行うだけでなく、なぜその取り組みを行う必要があるのかをスタッフに説明することが求められる。
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