2021年1月25日、厚生労働省ホームページにて「令和2年度新型コロナウイルス感染症患者等入院受入医療機関緊急支援事業補助金」に関する資料が公開されている。
新型コロナウイルス患者を受け入れることで赤字経営となる傾向がある今、医療機関へ支援金が新たに給付されることとなった。
その内容とは。
「新型コロナウイルス感染症患者等入院受入医療機関緊急支援事業補助金」とは?
【対象となる医療機関】
・病床確保計画の最終フェーズとなった都道府県又は病床が逼迫し受入体制を強化する必要があると判断した都道府県が、厚生労働省に申出を行い認められた場合に、都道府県において新型コロナ患者等の受入病床を割り当てられた医療機関
・新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言により緊急事態措置を実施すべき区域とされた都道府県については、厚生労働省に申出を行う必要はない
※ 都道府県が、病床が逼迫する地域に限定して、厚生労働省に申出を行い認められた場合は、当該地域において、都道府県から、新型コロナ患者等の受入病床を割り当てられた医療機関が補助の対象となる。
※ 申出が認められた都道府県(地域)及び新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言により緊急事態措置を実施すべき区域とされた都道府県については、厚生労働省ホームページや都道府県にて要確認。
厚生労働省ホームページ
【補助を受けるための要件】
・令和2年12月25日から令和3年2月15日までの間に都道府県が厚生労働省に病床逼迫についての申出を行い認められた都道府県(地域)又は新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言により緊急事態措置を実施すべき区域とされた都道府県に所在
・都道府県から、令和2年12月25日から令和3年2月28日までの間に、新型コロナ患者等の受入病床を割り当てられている
・補助を受ける受入病床の種別ごとに※、申請時の病床使用率(受入患者数の確保した受入病床数に対する割合)が、令和2年12月25日以降新たに割り当てられた受入病床を除いて、25%以上であること。新たに割り当てられた受入病床については補助の対象となる。
※ 新型コロナ患者の重症者病床、新型コロナ患者のその他病床、協力医療機関の新型コロナ疑い患者病床、協力医療機関の新型コロナ疑い患者病床
・令和3年3月31日まで、都道府県から新型コロナ患者等の受入要請があった場合には、正当な理由なく断らないこと。
・補助を受けようとする医療機関は、令和2年12月25日から令和3年2月28日までに、厚生労働省に補助の申請を行う。
【補助の対象経費】
①新型コロナ患者等の対応を行う医療従事者の人件費(新型コロナ対応手当、新規職員雇用にかかる人件費等、処遇改善・人員確保を図るもの)
※ 従前から勤務する職員の基本給も、当該職員の処遇改善を行う場合は対象。
※ 新型コロナ患者等の対応を行わない職員の給与は、対象とならない。
※ ①新型コロナ患者等の対応を行う医療従事者の人件費は、補助基準額(補助上限額)の補助を受ける場合は、補助基準額(補助上限額)の3分の2以上。
※ 新型コロナ対応手当の額(一日ごとの手当、特別賞与、一時金等)、支給する職員の範囲(新型コロナ病棟に限られず、例えば外来部門、検査部門等であっても、新型コロナ患者等の対応を行う医療従事者(事務職員等も含む。)は対象となり得ます。)については、治療への関与や院内感染・クラスター防止の取組への貢献の度合い等を考慮しつつ、医療機関が決定。
② 院内等での感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する次の経費(従前から勤務している者及び通常の医療の提供を行う者に係る人件費は除く。)
・賃金、報酬、謝金、会議費、旅費、需用費(消耗品費、印刷製本費、材料費、光熱水費、燃料費、修繕料、医薬材料費)、役務費(通信運搬費、手数料、保険料)、委託料、使用料及び賃借料、備品購入費
※ ②院内等での感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する経費は、補助基準額(補助上限額)の3分の1を上限とする。
(例)補助基準額(補助上限額)が 7500 万円の場合、②の経費への補助金の使用は2500 万円(=7500 万円×1/3)が上限となり、補助基準額(補助上限額)の補助を受ければ、①の医療従事者の人件費への補助金の使用が 5000 万円となる。
※ ②により、消毒・清掃・リネン交換等の委託料、感染性廃棄物処理、個人防護具の購入費等に活用することが可能であり、看護師等が消毒・清掃・リネン交換等を行っている場合は、看護師等の負担軽減の観点から、医療機関は、これらの業務を民間事業者に委託することができる。
【補助基準額(補助上限額)】
補助基準額(補助上限額)については、確保した受入病床の次の種別ごとに、それぞれ次に定める額の合計額となる。
① 新型コロナ患者の重症者病床1床あたり 15,000 千円
② 新型コロナ患者のその他病床1床あたり 4,500 千円
③ 協力医療機関の新型コロナ疑い患者病床 1床あたり 4,500 千円
【交付申請書の提出】
提出期限:令和3年2月28日(必着)
民間の医療機関が新型コロナウイルス感染患者を受け入れていない原因は、感染患者を受け入れることで経営が赤字になることも、一つの理由として考えられる。
今回の記事のような支援や診療報酬が引き上げられることは、赤字経営の抑制、医師や看護師の報酬の増加、感染患者を受け入れる病院・病床の確保に繋がり、逼迫した状況を解消する術となるのではないだろうか。
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