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訪問看護という働き方 – 看護師のキャリアを考える

2017年6月1日

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目次

  • 看護師を取り巻く社会情勢
    • 医療費
    • 医療を提供する側への影響
  • 訪問看護師という働き方
    • 在宅医療を支える訪問看護師の存在
    • 訪問看護師の数
    • 医師不在の場面でも
    • 利用者主体の看護
    • 病棟看護師の中にも
  • 訪問看護の未来像
    • ニーズの多様化に応える自費負担サービスの拡大
    • 事業所数の増加と淘汰

看護師を取り巻く社会情勢

いわゆる「団塊の世代」が揃って高齢化のピークを迎える2025年に向けて、政府は全国の病床数を15万~20万床削減し、115~119万床とする方針を示しました。機能別にみると慢性期患者の病床を2割、高度急性期および急性期患者の病床をそれぞれ3割削減し、代わりにリハビリテーションのための回復期病床は増やす方向とのことです。

高齢者が増えるということは医療を必要とする人が増えるということ。なのに病床数を減らすというのはおかしな話ですよね。実はこれ、もっと大きな問題を抱えています。

医療費

医療を受ける人の数が増えれば、国が負担する医療費も増大し、財政を圧迫。もしその人数が爆発的に増えてしまうと、財源がパンクしてしまう可能性もあるのです。そこで医療費の増加を抑制するための手段として、病床数削減を推進しよう……というのが政府の考えです。

病院にベッドがなくなれば当然患者は入院できなくなるので、そこでは発生するはずの医療費が発生しなくなるということですね。とはいえ、「ベッドがないので入院できません」と言われた患者はどうすればよいのでしょう。その人は今まさに医療を必要としているのに、それを受けることができないのです。

そこで登場するのが、介護施設などの病院外、特に自宅で療養を行う『在宅医療』です。症状が軽く入院しての治療が不要と判断できる患者の不必要な入院を、自宅での治療に切り替える。政府は在宅医療を推進することで、病床数削減であぶれてしまう患者の治療をまかなう方針を打ち出しています。

医療を提供する側への影響

入院ベッドの数が減ることで影響を受けるのは患者だけではありません。実は病院側も同じなのです。入院患者の数が減ればその分だけ病院の収益は目減りし、経営が圧迫されます。そうなれば、新しい利益を生み出せない病院は経費を削減せざるを得ません。

真っ先にしわ寄せが来るのは人件費でしょう。病棟勤務の看護師は、病床数削減の影響で仕事を失う可能性があるのです。

一般企業での終身雇用制度が崩壊しつつある中で、病院も雇用の継続が約束されているとは言いがたい社会情勢になってきました。そうなると、看護師も自身の将来的なキャリア形成を見据えながら、働き方を考えていく必要があります。

1985年から2008年までの国民医療費の推移と、2020年以降の予想数値のグラフ

1985年から2008年までの国民医療費の推移と、2020年以降の予想数値。増え続ける医療費を最終的に負担するのは国民(出典:平成25年版 情報通信白書(総務省)(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/html/nc123120.html))

訪問看護師という働き方

病床数削減に伴って、今後さらなる拡大が予想される在宅医療。この在宅医療を支える要となる存在が、訪問看護師です。

在宅医療を支える訪問看護師の存在

もともと戦後の経済成長期に全国各地で病院の建設ラッシュが起こるまで、療養の場は自宅が主流でした。病院が多くの人々にとって身近な存在になったことで、『病気になったら入院』という価値観が日本人に根付いたのです。

病院が普及する以前の時代では、まだ医療制度そのものやインフラの整備が進んでおらず、自宅での療養は不安がたくさんあったことでしょう。しかし医療が発達した現代では、訪問看護師が患者が療養している居宅に訪問することで病院と遜色ない看護が受けられ、連絡・通信手段といったインフラも充分な整備がされています。

「病気になっても住み慣れた我が家で暮らしたい」という、人として当然の願いを叶えることを支えるための看護が、訪問看護なのです。

訪問看護師の数

日本の看護師は全体の80%が病院・診療所での勤務だと言われていますから、それに比べれば圧倒的に訪問看護師の人数は少ないのが実情です。

また訪問看護は、内科・外科といったように患者の病状が特定の診療科に限られているわけではないため、看護の場面において必要とされる知識や能力が多岐に渡り、臨床の現場で経験を積んでからでないと訪問看護はできない、と一般的に認識されています。

そのため看護学生の新卒就職先としても圧倒的に病院が多く、新卒から訪問看護師に就職したという例も数少ないのが現状です。これには上記に加え、業務の性格上OJTの実施が困難であるなどの理由も挙げられます。

医師不在の場面でも

一般に病院での看護業務は、医師の診断や指示に基づいて行われ、急変や万一の場合も医師が不在ということはほとんどありません。

一方で、訪問看護の現場には医師が一緒でない場合が殆どです。

利用者の家族やヘルパーにとっては訪問看護師が頼りであり、訪問看護師による状態把握や報告が医師の判断を助けることもあります。そして何より生活の場で、許された状況の下で行われる看護です。

利用者主体の看護

その意味で、訪問看護は、在宅医療に臨む利用者の希望に沿った看護と言えるかもしれません。ここでいう利用者の希望とは、単なる治療に留まりません。『自分自身の今の状態とどのように向き合って生活するか?』ということを考えることになります。

患者が思い描く、不自由と付き合って生きていく姿……嚥下機能が低下しても、好物の食べ物だけは自分の口で食べたい。体が思うように動かなくても、大好きなお風呂には入りたい。どんなに苦しい思いをしても、最期の瞬間は住み慣れた我が家で迎えたい。

ただそれは、一人では叶えられません。その実現を手助けして、その方のクオリティ・オブ・ライフ向上のために力を添えるのが訪問看護の仕事です。訪問看護では利用者一人ひとりとしっかり時間をかけて向き合い、またその家族や地域の方たちとも協力しあって、看護を行います。

特に訪問看護では、利用者が生活を営む居宅という、最もプライベートな空間に足を踏み入れます。病院には病院のルールがあるように、利用者にも利用者の流儀や考えがありますから、その繊細な折り合いを調整する力は訪問看護師に求められる重要な能力です。

病棟看護師の中にも

病院で勤務する看護師の声としてよく聞かれるものの中に、限られた時間の中で多くの業務をこなさなければならず、『患者一人ひとりに向き合って、最後まできちんと見届けることができない』というものが挙げられます。

病院では、一日にたくさんの入院患者を看て回る必要があるため、一人の患者に費やすことのできる時間はどうしても限られてきます。

場合によっては患者がまだ完全な快復とはいえない状態であっても退院してもらわなければならないこともあります(その場合、看護計画を在宅療養の訪問看護へ引き継ぐこともあります)。

「果たしてこれでよかったのだろうか?」と、自分自身が思い描いていた看護像とのギャップに悩む看護師もおり、実際にそうした考えから病院を退職し、訪問看護に転職する看護師の例は決して少なくありません。

自身の看護像に悩む看護師の画像

看護にあたって、向き合うべき相手は誰なのか?病院で働く看護師の悩み。

訪問看護の未来像

厚生労働省は2025年に向けて、要介護者の人々が住み慣れた地域で生活が続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの確立を進めています。これは在宅医療を推進するための基盤となる考え方でもあります。

同時に介護保険制度についても徐々に改正を進めています。各種介護保険サービス利用料は原則1割負担となりますが、2015年には一定水準以上の収入がある高齢者は2割負担とするように制度を変更。さらに2018年には、より収入水準が高い高齢者を対象として3割負担に引き上げる方針を打ち出しています。

限られた財源と人的資源の中で、今後、在宅医療を取り巻く環境はますます変化していくことが予想されます。

ニーズの多様化に応える自費負担サービスの拡大

上記のように、世帯によって医療・介護にかかる金額はさまざまです。収入や貯蓄に余裕がある世帯では、保険利用の範囲に留まらない自費負担の訪問看護・介護サービスも利用されています。

自費負担のサービス例として、自宅療養者の家族の介護疲れを防ぐため一時的に療養者を施設へ移すことで家族が休養する時間を作るレスパイトケアサービスや、墓参りや温泉旅行といった自宅療養者の外出希望を叶えるための外出支援サービスなどが挙げられます。

保険適用の範囲内で多様化する利用者のニーズに応えることは、限界があります。保険でカバーできない希望を叶えるために、自費負担のサービスを提供する訪問看護事業所の数は今後ますます増加していくと考えられます。

事業所数の増加と淘汰

もちろん自費サービスを提供するか否かに関わらず、在宅医療を必要とする高齢者人口の増加に伴い、訪問看護サービスそのものを提供する事業所の数も今以上に増加するでしょう。

しかしそれは同時に、事業所間での競争が熾烈になっていくということでもあります。利用者は、利用している訪問看護ステーションに不満があれば、他のステーションに変更することも当然可能なのです。そうなってくると、自然と市場での淘汰が始まり、利用者に選ばれない事業所は閉鎖に追い込まれることになるでしょう。

そういった意味でも、他事業所との差別化となる自費サービスをどれだけ・どのような内容で提供できるかということは、訪問看護事業所にとって今後重要な課題になってきます。

1985年から2008年までの国民医療費の推移と、2020年以降の予想数値のグラフ

東京都世田谷区が想定する地域包括ケアシステムの構築イメージ。医療・介護・行政などが高齢者を取り囲むように関わっていく(出典:地域包括ケアシステム構築へ向けた取組事例~東京都世田谷区の取組~(厚生労働省)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/dl/model01.pdf))


今後、ますます医療の現場で存在感を示すようになるであろう訪問看護サービスの存在。では訪問看護師として働くことで、実際どのようなキャリアを考えられるのでしょうか? 次回の更新で詳しくお伝えしていきます。

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