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地域医療連携が実現する『地域完結型医療』によるケア

2017年8月2日

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目次

  • 地域医療連携とは
    • 地域医療連携が求められる背景
  • 地域医療支援病院の役割
    • 地域医療連携室の設置
  • 地域医療連携の事例:岡山県『晴れやかネット』
    • ネットワーク利用範囲の拡大
  • 地域医療連携の事例:広島県『尾道方式』
  • 地域医療連携推進法人の登場
  • まとめ:これからの医療のために

地域医療連携とは

地域医療連携とは、近しい地域にある医療機関同士が相互に連携を取り合って医療機能を分担し、患者がその生活圏の中で継続的に医療を受けられるようにするための取り組みです。

地域医療連携が求められる背景

医療技術の向上にともなって、より高度な医療を求めて地域の中核病院に患者が集中する一方で、病院側には医師や看護師の不足による負担の増大という問題があり、その負担が離職のきっかけとなってまた人材が不足し、提供する医療サービスの質が低下してしまうという悪循環が発生しています。

病院を訪れる患者の症状は軽度なものから緊急を要するものまで幅広く、それら全てに対して病院で治療することは技術や設備としてそれが不可能でなくても、医療人材の不足や病床数の限界という物理的な障壁が実現を阻みます。

しかし地域には中核病院以外にも開業医の診療所や訪問看護施設など独立した医療機関が点在し、機能分化が可能です。そこで、それらが連携してお互いの特長と不足を補い合いながら医療を提供することで患者にとって最適な医療を実現するために、地域の医療機関で一丸となった『地域完結型医療』のシステムを構築することが地域医療連携の考えです。

地域医療支援病院の役割

1997年の医療法改正から、地域医療の中核を担うことができる体制を備えた病院は『地域医療支援病院』として承認を受けることができるようになりました。承認された病院は、他の中小病院や診療所からの紹介患者に診断・治療を行い、患者の状態が安定したら紹介元へ以後の診療を引き継いだり、また症状によっては別の医療機関を紹介したりする役割を果たします。

承認要件としては救急医療の提供体制があることや病院の建物、設備、機器などを地域の医師が利用できる体制として整備されていることなどが挙げられます。また2006年の医療法改正以降は在宅医療の提供を推進するため、地域の医療機関を支援することが承認要件に追加されるなど、今後は地域包括ケアシステムを構築する上で重要な役割を担っていくことが予想されます。

地域医療連携室の設置

近年、地域医療支援病院の承認を受けた病院を始めとして、より円滑な医療連携の提供を実現するために多くの病院で『地域医療連携室』の設置が進められています。その業務内容は病院によって異なりますが、主に以下のような役割を果たしています。

地域医療連携室の業務内容(一例)
紹介患者の予約受付
紹介元医療機関への経過報告
連携医療機関への情報提供
セカンドオピニオン外来の予約受付
地域医療連携に関する院内外への広報
橋渡しのイメージ写真

地域医療連携室は病院と地域の医療機関の橋渡しをする

地域医療連携の事例:岡山県『晴れやかネット』

岡山県は、高齢者が寝たきりになってしまう大きな要因である大腿骨頸部骨折と脳卒中の2症例に対して、急性期病院と回復期リハ・維持期を受け持つ病院がシームレスに連携して、治療を完結させることを目指した地域連携クリニカルパス『もも脳ネット』の整備を2006年から県内で開始するなど、医療連携に早期から力を入れている地域です。

岡山県では2013年から、県・県医師会・県病院協会の三者協働で設立した『医療ネットワーク岡山協議会』が中心となって、ITを活用して岡山県全域をカバーする医療連携ネットワーク『晴れやかネット』の整備を開始しました。

晴れやかネットは、患者の同意を得て病院での診療内容をネットワークを介して開示することで、診療所の医師が所内の端末から患者の情報を閲覧できるようになっています。県内の主要な病院がほぼ全て情報開示病院として参加しており、利便性について医師からの評価も高く、閲覧する診療所も多数参加して急成長しました。

病院で撮影したCTやMRIの検査画像もすぐに診療所で見ることができるのでスムーズに診療のステップを進められます。また病院での受診歴のある患者が診療所に初診で訪ねる場合でも、患者の同意があれば診療所の医師は過去の検査結果を閲覧でき、診断の一助にすることができます。

ネットワーク利用範囲の拡大

病院と診療所の連携から始まった晴れやかネットの仕組みは薬局・老人保健施設へ順次拡大し、現在は介護事業者との連携まで進んでいます。在宅患者一人ひとりを支援する医師・看護師・介護福祉士・ケアマネジャーといった多職種連携チームが情報を共有することで、より患者が安心できる在宅医療の提供を目指しています。

また、隣接する県として住民の往来があるにも関わらず情報共有できない状況を打破するために、全国で初めて県境を越えた広島県の医療情報ネットワークとの連携が始まるなど、ITを活用した連携はその利便性の幅を拡大しています。

晴れやかネットの構成イメージ

晴れやかネットの構成イメージ(出典:医療ネットワーク岡山 晴れやかネット http://hareyakanet.jp/about-hareyakanet/)

地域医療連携の事例:広島県『尾道方式』

広島県の中南部に位置する尾道市は、通称『尾道方式』と呼ばれ、全国から地域ケアの手本とされるほどに完成された高いレベルの地域医療連携が構築されています。全国に15年先行するといわれた尾道市の高齢化率の高さを背景に、尾道市医師会が1994年から取り組みを始めました。

尾道方式で最も重要と考えられているのが主治医(かかりつけ医)機能、そしてその主治医を含む医療チームによるケアカンファレンス。患者のケアに関わる医師、看護師、ケアマネジャー、リハビリスタッフ、ヘルパーなどの医療・介護関係者が患者の転退院時などの折に触れて参集し、そして時には患者の家族や患者本人まで加わって開かれるケアのための会議です。

病院から離れた後も患者が回復していくためのケアをどのように継続していくかということを、ケアに関わる全ての人たちが一箇所に集まって真剣に考えるのです。

岡山県の晴れやかネットはITを駆使したネットワークシステムで情報の共有を円滑に進める医療連携ですが、一方で尾道方式はまだ情報通信技術が普及する前の時代から始まっていることからもわかるとおり、人と人とが直接関わることに重きを置いた医療連携。どちらがいい・悪いということはなく、いずれの仕組みも地域医療連携を強化していく上で欠かすことはできません。

瀬戸内海の写真

瀬戸内海に面した尾道市は、全国の一歩先を進んでいる

地域医療連携推進法人の登場

地域医療連携の重要性の高まりを受け、2015年の医療法改正で創設され、今年2017年の4月から施行が始まったのが地域医療連携推進法人制度です。これは地域内の複数の医療法人や公益法人、NPO法人などが参画して、複数の医療機関・介護施設を一体的に運営する本部機能となる法人を運営するものです。

医療機関どうしで協調して医療を提供することを推進する狙いがあり、参加法人間では病床や診療科の再編、医師の配置転換、医薬品の共同購入などが行えるようになります。

愛知県では4月の施行と同時に、地域医療連携推進法人『尾三会』を認定。尾三会は病院・クリニック・訪問診療・老人保健施設など20の参加法人で構成されており、切れ目なく適切な医療・介護サービスを利用できるよう、高度急性期医療と地域包括ケアの連携モデル構築の実現を目指しています。

尾三会に参画する藤田保健衛生大学病院が急性期機能の強化や研修・勉強会の実施、電子カルテによる情報共有などの中核機能を担い、それに対応して他の病院が回復期機能への転換と充実化を図るなどの機能分化が予定されています。

時を同じくして兵庫・広島・鹿児島でも地域医療連携推進法人が認定されていますが、参画法人数の規模では愛知県の尾三会が最多となっており、今後のモデルケースとして注目されそうです。

まとめ:これからの医療のために

地域医療連携の要点は3つです。

  1. 地域全体で患者を支えるために、医療機能を分化させる仕組みである
  2. 病院への医療の集中を防ぎ、効率的によりよい医療を提供することができる
  3. 先進的な事例があり、今後ますますの整備が期待される

高齢化と人口減少という他の先進国でも類を見ない未曾有の事態が起き始めている日本でこれからも誰もが安心して医療を受けられる体制を続けていくために、地域医療連携の重要性はますます高まっていくと考えられます。

ITを活用するイメージ写真

晴れやかネットのように、ITを活用したスピード感ある医療連携がますます求められてくる

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