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多職種連携の必要性と看護師の役割

2017年8月23日

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目次

  • なぜ今、多職種間の連携が必要か
  • 広がる多職種の枠
  • 協働の場でこそ活きる、看護師としての職業倫理
  • 寝たきりにさせない:退院後の2週間、訪問看護が支える連携
  • まとめ:それぞれの立場、価値観への理解

なぜ今、多職種間の連携が必要か

前回紹介した看多機の現場では、看護師の実務はケアマネージャーや介護士と協働関係にありました。サービス利用者の健康管理において、保健・医療・福祉が複合的に携わることになります。『地域医療連携における看護師の役割』の記事で取り上げたように、病院の退院調整においても同様です。

近年では、医療サービスを利用する人々の社会的状況や心理的観点に対する様々な視点からの配慮が求められています。病院でのチーム医療についても、急性期・回復期・維持期でそれぞれ体制が異なり、各ステージ間でよりスムーズに連鎖する仕組みが必要とされています。今や保健・医療・福祉の各分野はどの職種でも単独では成り立たないものです。

広がる多職種の枠

多職種連携の必要性については、世界保健機関(WHO)が1980年代から多職種連携やその教育に関する報告書を出していましたが、当時はまだ注目されなかったという経緯があります。それが見直されはじめたのは最近のことで、WHOによる2010年の報告書では、連携の要員は主に医療に携わる各専門職に加え、事業所の事務管理者から地域コミュニティーのリーダーやボランティアなどの支援者も含まれるとされています。

高齢者の介護・生活支援を中心にした場合、医師(担当医・かかりつけ医・訪問医)・看護師(病棟・訪問)以外の専門職では、例えば以下のような専門分野との協力・連携が挙げられます。

多職種連携に関わる専門分野の例
保健師
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
薬剤師
栄養士
歯科医師
歯科衛生士
社会福祉士
医療ソーシャルワーカー
精神保健福祉士

地域包括ケアシステムを構成する上では、これらの専門職に加えて社会福祉施設の職員、民生委員、NPO法人のスタッフ、ボランティア団体のメンバー、自治会などの地域支援者が連携の輪に参加することとなります。

地域包括ケアシステムに携わるサービスの概念図

地域包括ケアシステムに携わるサービスの概念図(出典:地域包括ケアと多職種連携~学習用ワークブック~(日本医師会)(http://www.med.or.jp/jma/region/mdc/workbook.pdf))

協働の場でこそ活きる、看護師としての職業倫理

地域包括ケアシステムにおける多職種連携では、高齢者が住み慣れた地域で可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、前項に挙げた職種の人々が共通の目的に向けて協働します。ところが実際に支援にあたってみると、それぞれの立場によって理解や価値観の相違が生じ、問題への対処をめぐって判断が一致しないケースはよくあることです。

そこで今一度、医療と看護に携わる上での倫理に立ち戻ってみることは有益です。倫理とは、人が社会生活を営む上で守るべき道徳的指針であり、行動規範となるものです。人の命を預かる専門職である看護師には、高潔さを保ち患者に尽くすことを誓う『ナイチンゲール誓詞』に代表される職業倫理があります。

多職種間で生まれた意見や課題は、立場による見解の違いを踏まえた上で、看護師としての倫理観をもって解決することが大切です。利用者を支えるという共通の目標に向けて、チーム体制のなかで看護職として行うべきことを検討し、専門的知見と能力を発揮しながら異なる職種のチームメンバーから協力を得て課題に向き合っていくことが重要です。

『ナイチンゲール誓詞』原文の日本語訳

『ナイチンゲール誓詞』原文の日本語訳

寝たきりにさせない:退院後の2週間、訪問看護が支える連携

高齢者の場合、日常のちょっとした転倒が骨折の原因になり得ます。入院日数が短期化されていく中で、患者は入院前よりも運動機能が低下した状態で退院せざるを得ないことが多くなり、それに起因して寝たきりになってしまうことがあります。

このパターンを回避するポイントは、退院後の生活を支える訪問看護へのスムーズな移行と連携です。担当医の特別指示書があれば、退院後2週間は医療保険の枠内で訪問看護を利用できます。

東京・板橋区の医師会では、入院中の患者さんが自宅でも安心して療養を続けられるよう療養相談室を設け、退院支援をコーディネートしています。療養相談室の看護師は必要に応じて病院に出向き、退院支援室のソーシャルワーカーや病棟の担当看護師、理学療法士などと患者に関する情報を交換し、まとめていきます。こうして退院前に症状や生活環境を洗い出すことで、帰宅直後に必要な支援を見立てることができます。

多職種によるサポートメンバーが決まれば、患者本人とその家族を中心に退院前カンファレンスを行い、療養体制を決定。この時点でメンバーが顔合わせをすることにより、在宅へ向けての移行がより円滑で安心できるものとなります。訪問看護を担当する看護師は、患者さんの病棟での医療情報を引き継いで実際に居宅生活を見守るなかで、再入院につながる不安要素はないかなどを察知できる立場にあり、退院後の在宅療養中からご本人とご家族を孤立させることなく、必要に応じて医療や地域へつないでいくという大切な役割があります。

発症から在宅療養までの経過図

発症から在宅療養までの経過図(出典:地域包括ケアと多職種連携~学習用ワークブック~(日本医師会)(http://www.med.or.jp/jma/region/mdc/workbook.pdf))

まとめ:それぞれの立場、価値観への理解

問題を解決しようとする時にはそれぞれの専門職の力を借り、お互いの持つ能力を活かしてこそ、チーム体制で対処する協働の意義が生まれます。職種間での相互理解と協力の深度が鍵となる多職種連携は、より効率的なチームワークの体制構築とそのアプローチ方法が探られている状況です。看護師のスタンスから連携に協力できることは、報告・連絡・相談の徹底と、看護師としての倫理観に基づいた意見の取りまとめが挙げられます。看護師同士や多職種間での苦労話の共有も、今後の課題を予見するヒントになることでしょう。

療養の現場が病院完結型から地域包括型へと移行しつつあり、医療・介護・福祉のすべてにおいて必要とされる看護師も、病院から暮らしの場へと活躍のフィールドを広げています。日本の医療・福祉サービスの仕組みは今後もさらなる転換が起こり得るでしょう。良質なケアを提供し続けるために、異なる専門領域をカバーできる連携チームを構築する重要性はますます高まります。

地域包括ケアシステムのあり方については、現段階で十分な知見が蓄積されているわけではなく、まさに各地域社会が検討と実践に基づくノウハウの開示やアプローチ方法の共有を現在進行形で進めているところです。看護師においては、生涯にわたって患者を保健・医療・福祉と生活・社会をつなぐ視野を持つことが大切です。

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