『株式会社gene』は愛知県名古屋市を拠点として、コメディカルスタッフ対象のセミナー企画・運営や出版事業、訪問看護ステーション・デイサービス運営の介護保険事業など、多角的に事業を展開する企業です。看護師・PT・OT・ST向けのセミナーは年間通して全国各地で開催され、出版部門では雑誌『訪問リハビリテーション』や在宅領域に関する専門書を刊行しており、在宅医療・介護に従事する人々のスキルアップを啓発する事業に力を入れています。
LALANURSEでは、株式会社geneの関係者の方々へのインタビューを実施。全2回の特集記事として、2週に分けて公開します。
第2回となる今回は、株式会社geneが運営する訪問看護ステーション仁 春日井に勤務する看護師の坂井さん(写真・左)を中心に、訪問看護事業部門チーフリーダーの内藤さん(写真・右)を交えてお二人からお話を伺います。
(第2回/全2回) 第1回はこちら
家族に寄り添う看護師に憧れて
— 坂井さんが訪問看護の道を選んだ理由を教えてください。
坂井さん(以下、敬称略):geneに入社する以前は療養病棟で6年ほど勤めていたんですが、当時の職場の看護師長は、忙しく働いているなかでも時間を割いてじっくり患者さんのご家族から話を聞いていました。「すごくしっかり話を聞いてくれるから、本当に安心できる素晴らしい師長さんね」と、ご家族の方からの評判がすごくよかったんです。
— その師長さんに訪問看護の経験があって、坂井さんも訪問看護師を志すようになったんでしょうか?
坂井:いえ、その師長に訪問看護の経験は全くなかったそうです。免許を取得したものの看護ではない他の仕事をしていて、かなりブランクがあった上で看護師になり、それから2年ほどで看護師長になった稀なキャリアの方でしたね。患者や家族の話をじっくり聞いて、不安を取り除く・一緒に考えていくということにすごく着目している人でした。そういう姿を見て、師長のようにご家族とちゃんと接していく看護をしてみたいという気持ちがどんどん高まりました。
— 師長さんは看護師になる前の仕事の経験を活かして、コーチング的な思考を身に着けていたのかもしれませんね。
坂井:ちょうどその頃、在宅へ戻っていく患者さんが勤め始めた当初よりどんどん増えてきて、「在宅で家族の方はどんなふうに看病するのかな」とすごく興味を持ち始めて、病院よりも患者さんやそのご家族との関わりが強くなる訪問看護をやってみたいと思うようになりました。
— 訪問看護師として実際に働くようになって感じることを教えてください。
坂井:病院だと患者さんやそのご家族って、あまり素を出さない部分があるんですが、在宅ではじっくり利用者さんに関わることができます。その人の希望を叶える方法をご家族と話し合って進めていったり、疑問を解決したりできる点はすごくいいなと思います。
その反面、提案をしてもなかなかご本人やご家族に理解してもらえなかったり、受け入れてもらえなかったりするときは、すごく苦労しますね。そういうときはスタッフみんなと相談したり、ケアマネさんに助けてもらったりして乗り越えています。

株式会社geneについて
みんなで判断できる職場
— geneへの入社を決めた理由を教えてください。
坂井:訪問看護への転職は私の中ですごく勇気がいることで、一人で訪問して判断しなきゃいけないことに不安もあって、面接は他にも受けていたんですが内定をもらっても入社を決めかねていました。
geneはセミナーや勉強会に力を入れていることをサイトで知って興味を持ったんですが、不安に思っていることを面接時に話したら、内藤さんが「みんなと相談して話し合って判断すればいいから、大丈夫だよ」と言ってくれたので、ここなら頑張れそうだと思って決めました。張本社長にも「どう、みんないい? いいならオッケー!」と内定をその場で出していただいて、すごいと思いました。
— 入社した現在の実感はいかがですか?
坂井:スタッフ同士の関係もすごくよくて、みんなでいろんな問題を話し合ったりして、一人で抱え込むことがない安心感がありました。現場に行って本当に困ったときでも、リーダーに電話すると解決策を考えてくれたりして、すごく働きやすいです。
geneでの勤務
— 訪問看護ステーション仁 春日井での勤務スケジュールを教えてください。
坂井:8時20分には出勤して事務所の掃除を始めて、8時半から朝礼です。早いと9時から訪問に行き、5、6件回って帰ってきます。土日はお休みで、一ヶ月に一回、待機の電話を持つ期間が一週間あります。
内藤さん(以下、敬称略):春日井の事業所では、春日井市内全域へ訪問しています。市内は広いので、移動は全て車ですね。用件によっては一宮市や小牧市など春日井市外に行くこともあります。
— geneの制度で助かっていることを教えてください。
坂井:geneは時間単位で休みを取れるので、用事があるけど一日まるごと休む必要がないときは必要な分だけ取ることができます。勉強会も積極的に行かせてもらえますし、学んできたことは現場で活きています。
— geneが刊行している書籍は現場でも活用されていますか?
内藤:リハについての書籍が中心ではありますが、『小児リハビリテーション』ではお子さんと過ごす家族の姿にもスポットを当てていて、看護師も読んで参考にしていますね。

スタッフがお互いを理解し合う環境
— 職場の雰囲気を教えてください。
坂井:みんな和気藹々としています。病院に比べると子育て世代の人が多くてみんな理解があるので、お互い様という感じで助け合っています。
— 一緒に働くメンバーとの結束を強くするための秘訣を教えてください。
内藤:懇親会費用の補助制度があるので、飲み会とか、やたらといっぱいありますよね(笑)。家庭の事情など都合が悪い人もいるので強制とかではなく、できれば参加で……という感じです。そういう集まりが多いのは、同じ事業所の仲間という意識が強いのかな。もっと仲良くなって一緒にやっていくんだ、という想いが根本にあります。
また、スタッフ同士の人となりを知ろうということで、週に一回、小グループを作って自分のいろんな意見を言いながらお互いのことを理解していくディスカッションという取り組みを始めました。以前まで自分のことをみんなの前で話す3分間スピーチをやっていたのですが、スタッフみんなで考えてそれの形を変えてみました。
— スタッフが意見を出しやすい環境なんですね。
内藤:そうですね。今の春日井のリーダーはスタッフが意見を率直に出せる雰囲気を作っている人物で、上がってきた意見を実現する方法は、そこからみんなで話し合って決めるようにしています。
情報を共有する職種間の連携
— 看護・リハの職種間で業務を連携する際の様子について教えてください。
内藤:たとえば、看護師が介助をするときに「どうすれば介助する側・される側が楽になるだろうか」と考えて、動作をリハスタッフに見てもらいたいという要望があれば、それに応じてすぐ見に来てくれます。
一方でリハスタッフは、利用者さんの具合が悪そうだったり普段と違う様子があったりして自分では判断しかねるとき、すぐ看護師に連絡をくれます。利用者さんの目線に立って考えて、困ったときにはその都度相談をして、お互いを頼りにしていますね。
— 一人の利用者に複数のスタッフが関わっていく上で、工夫していることはありますか?
内藤:週に一回、利用者さんの症例を元にした報告会形式で、看護・リハそれぞれの計画の現状・目標・課題といった情報を共有しています。本人の想いや医師の方針、ケアマネジャーの考え方を知って、看護・リハでそれぞれどんなことをやっているのか、お互いのことを知るようにしていますね。
自身の将来像
— 最後に、坂井さんが看護師として成長していきたい将来像を教えてください。
坂井:利用者さんのご家族からの相談に応えられるよう、いろんな情報を身に付けて機転が利くようになりたいです。最近、フットマッサージやハンドマッサージといった、単なる看護に留まらないスキルを活かしたケアに力を入れる訪問看護ステーションが増えているという話を聞きます。そういった自分の強みになるスキルも身に付けていきたいと思って、geneのセミナー制度も活用して今勉強しています。
