医療コンシェルジュを理解する5つの要点。
患者や病院のメリットとは 2017.12.06

医療コンシェルジュとは、特に病院サービスの質を向上させて患者の医療満足度を高めることにつなげる、病院と患者の橋渡しをする接遇のプロフェッショナルです。また、その能力があることを証明する資格の名称でもあります。

患者のニーズの変化に伴い、外来看護師遺伝看護師など、専門性を活かした多様な働き方が病院で働く看護師に求められる時代となってきました。医療コンシェルジュもまた、看護師の専門的な働き方の一つと言えます。

医療コンシェルジュが生まれた背景

高齢化社会を迎えた日本では、医療を必要とする患者の数が年々増加しています。その一方で、病院の統廃合や病床数の削減によって患者の受け皿そのものの縮小が続いており、対応する医師や看護師など医療スタッフの人手不足も深刻化しています。

このような事態に起因して、「3時間待ちの3分診療」と呼ばれるような医療サービスの質の低下が叫ばれています。これらは病院や行政などサービス提供者側の事情で生じている課題であり、サービス利用者である患者はそれに振り回されているのが実情です。

そこで、患者の目線に立って院内外での行動をサポートし、病院をより利用しやすくするサービスとして、医療コンシェルジュを配置する病院が増えてきています。

医療コンシェルジュの役割

もともとコンシェルジュという職種はホテルのフロントスタッフを指す呼称で、交通手段やレジャーの手配といった宿泊客の要望に応えるサービス業務に従事しています。そこから転じて、特定の分野に長けた知識を活かして紹介や案内をする専門家という意味合いが込められるようになり、現在はブックコンシェルジュや旅行コンシェルジュといった多様なジャンルで高品質なサービスを提供するコンシェルジュが登場するようになりました。

医療コンシェルジュは多様化したコンシェルジュの形の一つで、業務の例として以下のようなものが挙げられます。いずれも、患者にとってスムーズに病院を利用できるようにすることを目的として、患者が院内外で不便を感じるような場面でコンシェルジュがサポートに入ります。

医療コンシェルジュが携わる業務の例
診察の受付や検査予約の手配
病院サービスの利用方法や院内施設の案内
診察当日の付き添い
診察・検査内容の説明
紹介元の病院との情報連携
担当医との折衝
地域の医療機関の選定やアドバイス
セカンドオピニオンの依頼

医療コンシェルジュの業務内容

地域の診療所から紹介を受けた患者を病院が受け入れる際に、医療コンシェルジュがサポートに入る例を見てみましょう。

まず患者が来院するまでの段階です。事前の紹介連絡を受け、医療コンシェルジュが来院当日の検査計画を作成します。患者からすれば、可能な限り一日で必要な全ての検査を終えたいものですが、当日飛び込みでは受けられない予約が必要な検査もあったりします。そこで医療コンシェルジュが病院側の予定を踏まえた検査計画を事前に用意することで、時間がかかる検査が複合しても一日で完了するスケジュールを立てることができます。

また紹介の場合、かかりつけ医がそれまでに診察した診療情報がありますから、それを可能な限り連携して病院の担当医へ来院までに伝達します。これにより、当日の問診をスムーズに進めることができます。

患者の来院当日は、受付から患者に付き添います。初めて来る病院でも迷うことなく検査までの道筋を案内し、その間に患者の容態もヒアリングして、必要な情報は医師に伝達します。医師の診察時にも説明を噛み砕いて伝えたり、ためらいがちな患者から言葉を引き出したりします。

このように、病院の利用に慣れていない患者をあらゆる場面でサポートしていくのが医療コンシェルジュの役割です。上記は一例で、医療コンシェルジュがどこからどこまで対応するのか、その業務内容は病院によって異なります。

医療コンシェルジュは不慣れな病院に来院した患者を暖かく迎える写真

医療コンシェルジュは不慣れな病院に来院した患者を暖かく迎える

医療コンシェルジュがもたらすメリット

医療コンシェルジュを導入した病院では、通院時の滞在時間が大幅に短縮されたり、診療内容について詳しく理解できるようになったり、日常生活でのアドバイスを受けられたりといった、患者にとってのメリットが生まれています。

病院側にとっても、患者のサービス満足度が上がることで病院のイメージが向上し、さらなる病院利用者の増加につながっていきます。また、医療コンシェルジュが患者の視点から病院内の様子を見ることで、それまで気づけなかった不満や疑問も明らかになり、サービス改善のきっかけにもなります。

近年、多くのサービスでコンシェルジュが導入されている背景には、利用客が求めるサービスの質や精度により高いレベルが求められるようになったことがあります。要望にしっかり応えることで利用客はリピーターとなり、そのクチコミから新しい利用客の創出にもつながります。

病院にも利用者目線のサービス提供が求められるようになってきた時代で、医療コンシェルジュの存在は今後ますますニーズが高まるでしょう。

医療コンシェルジュになるには?資格取得や求人

医療コンシェルジュは民間資格です。NPO法人日本医療コンシェルジュ研究所が開催しているメディカルコンシェルジュ資格認定講習会や、技能認定振興協会が実施しているホスピタルコンシェルジュ検定試験が、技能や知識に基づいて医療コンシェルジュとしての資格を認定しています。

あくまで民間資格なので、医療コンシェルジュとして勤務する上で必ずしもこれらの資格が必要になるわけではありません。新たに医療コンシェルジュのポジションを設けた病院では、看護師長など病院内の事情に精通し、看護の経験にも長けた人材が資格の有無に関わらず配置されることもあります。また従来は看護師などのスタッフが総合案内を兼任していたところへ、新たに医療コンシェルジュの雇用や委託をして配置するケースもあります。

とはいえ、院内に新しく配置される医療コンシェルジュのポストに志願する場合や医療コンシェルジュの求人に応募する場合において、医療コンシェルジュの資格を所持していることは自分のキャリアにとって大きな強みになるでしょう。

まとめ

患者と病院をつなぐ役割を果たす医療コンシェルジュは、患者の目線から病院の利用しやすさを考えることができる、患者にとっても病院にとってもアドバイザーのような存在です。患者に安心感を与え、病院はより利用者に愛されるような改善のきっかけを見つけられるのが医療コンシェルジュの仕事です。既存の枠組みにとらわれず、よりよい医療を提供できる環境を患者と一緒に整備していきたい看護師は、積極的に経験していきたいキャリアです。

患者と病院の相互理解を深めるために働く医療コンシェルジュの写真

患者と病院の相互理解を深めるために働く医療コンシェルジュ

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