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家族看護における看護師の役割① ~乳児を持つ家族への援助~

2019年3月6日

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家族看護の定義は、「家族を看護の対象とし、家族が本来有する機能と家族の健康に関するケア機能を高める援助を行うこと」です。家族看護学では、家族に生ずる健康問題やそれに関連した要因へ看護援助を行うにあたり、家族看護の理論を活用して実証的な研究を行っています。
そんな家族看護の中でも重視されている分野のひとつが、乳児を持つ家族への看護です。
近年は核家族化や少子化、女性の就労率増加のほか、価値観の多様化などの要因もあり、出産や育児は必ずしも喜ばれるとは限らない状況になりつつあります。子どもを育てることに大きなストレスを感じてしまう親もおり、実際に乳幼児の虐待などが報道されるようになりました。これは本来の「家族のセルフケア」機能が健全に働いていないことになります。
こうした状況を踏まえ、家族が本来持っているセルフケア機能を引き出し、子どもを育てることで家族がさらに絆を深めていくことを支援する、看護援助の重要性も高まっています。
三本立てでお送りする第一段の今回は、家族看護のうち子育て時期にあたる養育期を取り上げ、家族看護における看護師の役割をご紹介します。

目次

  • 乳児が家族に加わる影響
    • 1.育児という新たな役割が加わる
    • 2.生活の変化を余儀なくされる
    • 3.体力・精神力・経済力の強化が求められる
    • 4.家族の人間関係が変わる
    • 5.家族の社会性の拡大
  • 乳児を持つ家族への援助
    • 1.夫婦に出産後の生活をイメージしてもらう
    • 2.家族個人のセルフケアを意識させる
    • 3.育児の方法を示し、育児観を形成する
    • 4.出産後の家族をアセスメントする
    • 5.家族それぞれへの援助

乳児が家族に加わる影響

具体的な援助を紹介する前に、まずは子どもを出産することによって、家族がどのような影響を受けるのか認識しておきましょう。

1.育児という新たな役割が加わる

家族への最も大きな影響は、育児という新たな役割が加わることです。人間の子どもは放っておいても勝手に育つというものではありません。大人が育児行動をすることで、生命を維持することができるのです。
もちろん、単に授乳して排泄物を処理するという単純なものではありません。乳児はしっかりと胸に抱きかかえられることによって、自己の存在価値を感じ取り、これから長い人生を歩むのに必要となる「原信頼」を形成するのです。
少子化となった現代では、多くの親が初めて育児を経験することになります。ですから、この役割をしっかり認識し、それまでの家族の生活に育児という役割をスムーズに統合できるよう支援する必要があります。

2.生活の変化を余儀なくされる

新たな子どもが家族に加わることにより、それまでの生活を再編成することが強いられます。
乳児は昼夜関係なく授乳する必要があったり、夜泣きに対処しなければならなかったりするため、親の睡眠時間が減少したり、睡眠が不規則になりがちです。また、乳児を育てる時期には、授乳や離乳食作り、子どもの衣類の洗濯などを最優先しなければならない傾向にあります。すると親が自分の食事する時間を取られたり、本来家事をする時間を取られたりと、これまで時間をかけていたことができなくなり、その時間も不規則になりがちなのです。夫婦でゆっくり過ごす時間も少なくなり、外食もしばらくは控えるようにすべきかもしれません。こうした、乳児を中心とした生活リズムへの大きな変更を余儀なくされるのです。

3.体力・精神力・経済力の強化が求められる

育児を行うには、夜間も授乳のために起き、衣類を洗濯し、お風呂に入れて……などなど、これまで以上に体力を使うケースが多いです。睡眠を削られることから、精神的なタフさを必要とします。さらに育児に必要な出費があるため、経済的な強化も求められます。

4.家族の人間関係が変わる

これまで夫婦だけで暮らしてきた家族は、第1子が誕生することで、それまでの夫と妻という関係から、父親と母親と子どもという3者の関係へ家族関係が広がっていきます。第2子以降が誕生すれば、兄弟・姉妹の関係が新たに加わります。
このように家族関係が発展することは、家族間の絆が強化されるのですが、これは必ずしもすべての家族に生じるわけではありません。
多くの母親は、妊娠中から子どもを育てるという自覚を認知し、役割の変化を速やかに受け入れるといわれています。それに対して父親が子どもとの関係を確立していくのはそれよりも時間がかかるのです。これにより、父親が閉め出された、取り残されたような感情を抱き、夫婦の関係に問題を生じさせることがあります。
兄弟の関係においても同様です。新生児の兄や姉が、親の愛情を弟・妹に奪われたと感じることで、精神的に不安定になるケースもあるのです。
また、出産は家族をより深く理解する機会にもなります。例えば、夫がこまめに子どもの世話をしたり、やさしく声をかける姿を見て、妻が夫の新たな一面を再認識するといった、好ましいプラスになるケースです。一方、妊娠中から「夫にはこういう役割をしてもらいたい」と思い描いていたにも関わらず、その理想通りにならなかったことでマイナスになるケースもあります。

5.家族の社会性の拡大

夫婦の2人だけで子どもを育てるというのは非常に困難で、例えば双方の実家などにある程度支援を要請することも多いです。子どもを出産後に実家との関係が緊密になっていくというケースはよく見られます。また、例えばお宮参りや節句、誕生日など、節目において双方の親戚と交流する機会も増えるでしょう。子どもが成長するにあたっては、近所づきあいも増やす必要が出てきます。子育てをする親同士、「ママ友」などといった交流も出てきます。小児科の医療機関、保育所などの社会資源との付き合いも始まります。
このように、子どもを持たないうちはほとんど縁のなかった様々な社会と、新たに付き合う、社会性の拡大が家族に求められるのです。

家族が本来持っているセルフケア機能を引き出し、子どもを育てることで家族がさらに絆を深めていくことを支援する「看護援助」。

乳児を持つ家族への援助

乳児を持つ家族への支援は、出産前からの援助と、育児相談など既に子どもが生まれた家族への援助に分かれます。その両方において、どんな援助を行うのか見ていきましょう。

1.夫婦に出産後の生活をイメージしてもらう

出産前の援助としては、準備教育があります。夫婦がはじめての子どもを迎え入れる際には、生まれる前からできるだけ具体的にイメージできるよう援助することが重要です。
出産前の夫婦は、まずは無事に出産することに関心が向いていて、その後の自分たちの生活を具体的に思い描くまでに至らないケースが多く見られるのです。
看護者は夫婦や家族内で育児に関するコミュニケーションが促進されることを期待し、自分たちの育児に対するイメージを改めて見直す機会を与えます。
まずは、育児の体験を持つ先輩たちの体験談を聞かせる機会を設けることです。各地に母親学級や両親学級があり、そのプログラムに取り入れられて成果を上げています。それらを参考に、語る先輩夫婦と、聞く後輩夫婦を結びつけるのです。
悩みや失敗談も含めてありのままに語られる体験談は、近い将来自分たちに起こる事柄の課題として、育児を真剣に考える機会となるでしょう。一方、語るほうの家族にとっても、自分の日々の生活や夫婦の関係を客観的に見つめ直す良い機会になります。
このように、すでに育児を経験している家族と、これから育児を経験する家族を結びつけることは、双方のメリットに繋げていくことができるのです。

2.家族個人のセルフケアを意識させる

出産前には、分娩の際の心構えや、育児に必要なトラブル回避法など、様々なことを各地の母親学級や両親学級で教えています。しかしそれだけでは十分とは言えません。前述した通り、大きな生活の変化へも対処していかなければならないためです。そこで看護師の立場から、健康に関してのセルフケアをこれまで以上に意識してもらうことを心がけて指導します。
例えばそれまで自分たちの健康管理を意識したことのないような若いカップルは、妊娠することで健康に対する意識を高める良い機会になります。その際、単に母体の健康や胎児の順調な発育のための指導ももちろん必要ですが、その後の育児や、さらには生涯にわたって健康に家庭生活を営んでいくことを視野に入れた保健指導が重要となります。
具体的には、家族一人一人の健康は、本人が主体的に守っていくものであり、そこには家族が基本的な土壌となっていることを伝えることです。
まずは基本を伝え、その上で妊娠中や授乳中に必要な工夫を示すことで、生涯を通じた健康に関する判断力を養ってもらうことができるのです。

3.育児の方法を示し、育児観を形成する

末っ子は自分の弟や妹が乳児として育てられている姿を見ていません。昔と違い、現代では親となる世代が一人っ子というケースもあります。これまでの成長過程において、乳児と接する機会なく親になる夫婦が極めて多いのです。すると、乳児の健康状態の見分け方や授乳のしかた、おむつの当て方、沐浴の方法などもわからないでしょう。
これら育児の具体的な方法を示してあげる必要があります。
それにはできるだけデモンストレーションを取り入れ、ミルクの温度、湯の温度、衣類の肌触りなどを実際に体感してもらうことが重要です。
さらに、「育児不安」を未然に防ぐことも考えましょう。具体的な育児の方法を示すのに加えて、子どもを育てることに対する基本的な考え方を提示するのです。
まず、不安を取り除くことから。よく抱えがちな不安としては、様々な育児書に書かれている通りにやっているのに、うまくいかないというものが多いです。子どもは極めて個別性に富んだ存在であり、育児書通りにいかなくても十分元気に育つこと、むしろその個別性が子どもの個性となることを教えてあげましょう。一人の人格、個性を持った子どもを育てることは、親も子も互いに成長していくことに繋がり、その過程に育児の醍醐味があるということを示します。

4.出産後の家族をアセスメントする

出産して育児に取り組んでいる家族への援助としては、単に子どもの発育状況や母親の健康状態にのみ注目するのではありません。看護者は家族全体を見て、生活のバランスをうまくとって適応できるよう援助する必要があります。
まず、育児が適切ではないために、子どもの成長や発達が阻害されていないかをチェックします。食欲や哺乳力、機嫌、泣き方、睡眠状況などを観察し、身体の発育状況や運動機能の発達状況、精神発達の各側面をとらえ、援助の必要性を判断します。その際には両親の子どもへの接し方も確認しましょう。例えば子どもが泣いたときの声のかけ方や表情、子どものサインを敏感に感じ取れているかどうか、適切にフィードバックできているかといったことも評価します。
また、育児によって家族に身体的・精神的健康問題が生じていないかも確認します。育児相談などでは子どもの状態に関する悩みが優先され、母親や父親自身の健康問題にスポットが当たらないことが多いため、看護者からこうした潜在的な課題を引き出してあげましょう。

5.家族それぞれへの援助

多くの夫婦が初めて経験する、出産して子育てを開始するということは、多くの努力を必要とします。まずは両親のこれまでの努力に対して、「大変だったでしょう、よくここまでできました」と素直に労いの言葉をかけましょう。
そして、育児に必要な判断力を養うことを支援します。判断力は両親が育児を行っていく過程で、次第に獲得していくものであるため、看護者はその学習を側面から助けることになります。具体的には、哺乳量や体重といった数値を基準にするのではなく、あくまで参考にしながら子どもがいきいきと活発に過ごしているかといったサインに注目して、それを判断基準にしていくことを教えましょう。それにより、両親は子どもの様子を敏感に感じ取ろうと努力しながら、判断力を身に着けていきます。それと同時に、子どもと親との親密な関係を築いていくことにも繋がるのです。
また、何か問題が発生していると、どう対処していいかわからず深刻に悩んでしまう親もいます。看護者は具体的にどう対応してきたかを詳しく聞き取り、正しい対処方法を具体的に示します。
またときには、家族の生活と育児のバランスが取れるよう、生活上のヒントを提示してあげることも大切です。家族個々のセルフケアを促し、心のバランスをうまくとっていくような助言を心がけましょう。

参考:家族看護学 理論と実践 第4版|書籍紹介|看護系の書籍、雑誌、セミナーは株式会社日本看護協会出版会

家族看護における看護師の役割② ~救急医療・集中治療の場における家族への看護~はこちら
家族看護における看護師の役割③ ~高齢者介護を行う家族への看護~はこちら

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